展示会の出品樹のご相談で、木村正彦先生のご自宅を訪れました。
月に2~3回、お伺いしていますが、80歳を過ぎてなお、庭内はいつも新たな作品や手入れの樹々でいっぱいです。

IMG_0833
お弟子さんも常時3人、伺った日は、黒松の芽切り作業に追われる日でした。
以前より大切になさっている作品達、初めて拝見する盆栽達、
そして先生の代表作として名高い名樹、真柏「登龍の舞」重厚な作品群の中で、先生はいつも変わらぬ姿勢で盆栽と向き合っていらっしゃいました。

IMG_0832
“これ以外、することないから“・・名匠はいつも同じ答えです。
どれ程の盆栽が、この庭から旅立ったでしょうか。
まさに醜いアヒルの子が、美しい白鳥となって、多くの盆栽人達を魅了しているでしょう。

天才と謳われる整姿術はもちろんの事こと、日々続けられる日常的な季節を的確に捉えた管理作業。
先生の日常は、盆栽の1年に合わせた刻となっています。

IMG_0834
功なり名を遂げてなお、日々を変わらずに暮らされる先生。
人は八十路を越えて、そのように皆できるでしょうか?

老成と言う言葉があります。
歳を重ねて完成されてゆく人格と技量、まさに先生は盆栽人のあるべき姿を物語っています。
しかし、その中でも、“更なるものを“と言う探究心と冒険心。
言い方を換えれば、“童心“のような純粋な盆栽への向き合い方が、木村正彦と言う二度と現れない盆栽家を創り上げているように思います。

IMG_0824
届かぬ目標ではありますが、こうして親しくさせて頂く事で、形を変えて私のような出来の悪い盆栽家でも、夢に向かって歩む原動力にさせて頂いています。
“飽くなき挑戦“の背中を追い求めて。