コロナ下で開催を控えていた、盆栽水石の趣味団体「玄虹会」の本格的な陳列に対する勉強会が、
修練の深さと完成度、そして高潔な人柄で、会員の指導的立場だった今は亡き、根岸庄一郎先生の邸宅で令夫人の協力で行われました。

盆栽と水石の座敷飾りをする為に造られた構え。
久しぶりの座敷内の飾り付けで、この空間が如何に素晴らしいものか、実感しました。


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玄関を入ってすぐの“寄付席“は、湖に浮かぶ帆舟。
足下には、水辺にあう砥草の芽出しの姿。

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客を迎える初手の飾りは、“重くなりすぎぬよう“を心がけ、それでも季節の移ろいを表現する事を肝要としています。


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書院席は唐楓の寄植。
写実的な景趣と葉色に対して、配された掛物は、盆栽の“実“と対比させる、水墨で描かれた“山雨“と題されたもの。
脇床には、里山にまさに今飛来している白鷺。

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この時期は、練達となれば、盆栽に“ほととぎす“の画をよく合わせられますが、
脇に白鷺を配したことで、鳥の“被り“が出るのを避けての配軸と添景です。

“峻険な山々には、時折雨が流れ降り、眼下の叢林は、新緑の季節。
遠くを見れば、人里に白鷺の風景。
樹・画・添・が三位一体となって、自然を素直に謳い上げた席です。



根岸邸にある茶室は、数寄屋建築として正統なもの。
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小間と呼ばれる小さき床の間は、“小宇宙“としての格の高さを内に秘め、精神的な内面を持った席が求められます。

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主石は滝石。
単に“滝“の景趣を思うのではなく、配された名筆、菱田春草の“天人“と共に、
石中に仏性にも似た観照心を希求したい事が、掛物との共鳴に感じられます。



三席は、主飾りがすべて異なり、一席の印象を被らせる事なく、
奥へ進むほどに、“何気ない自然の景趣“から、盆栽水石の飾りの深奥へと向かう精神性の高みへと構成されています。

一席を創意するだけでも大変ですが、ひとつの邸宅の全体を季節の主題を持ちながら、
更に“その向こう“を“見えぬように設える“・・趣味三昧の深奥を伝えてくれる研修会でした。