【宜興・広東の正統を次代に!】

10年前、中国泥物鉢の聖地「宜興」に、いにしえの登り窯“龍窯“の視察と取材に訪れてから、
“本物の継承がしたい“と願って、ようやく日本での本格的な紹介を開始するまでになりました。
「宝山」の名で知られる、紫砂古渡盆器の踏襲をしている周さん・楚さん達。
現代の名工と謳われた、馬先生の技と教えを受け継ぐ人達と、紫砂の泥質の追求、盆器としての“器形の美しさ“の再現に挑戦し続けてきました。
国内の常滑を中心とする盆栽鉢メーカーの減少、勝ち残った鉢作家の高額さ。
多くの愛好家の方々に、“使えば使う程に味わいが増す中国盆器“にやっと辿りつきました。

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大観展や国風展、業界市場での“使ってもらう為の販売“に、2~3年、
木村正彦先生をはじめ、盆栽作家の皆さんに「この鉢は、土も良く、凍て割れなどせず、作行きも良い」・こんな言葉を頂けるようになりました。


併せて、中国南部、広州へも6年前から赴き、“失われた石湾窯の再現“に挑戦しました。
佳き窯元と出会い、半世紀前に途絶えた釉薬の焼成に試行錯誤の格闘。

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初めて納得のいく作品を日本に持ち帰り、プロの市場にかけたところ、
小売価格の数倍まで高値がつき、落札した方に“そんなにしませんからもうひとつ持って行って下さい“と言った記憶が昨日のように甦ります。

釉薬鉢も泥物も、今の日本では幅が65cmを超えると、特注になってしまいます。
“こんな器形があったら“と思う物を少しずつ宜興・広州を行き来しながら、増やしていきました。
今年の国風展売店でも、盆栽業の皆さんに注文を頂くようになり、
“よし!全国に向けてのカタログを作って、誰でも使ってもらえる仕組みを作ろう!“
と思い、全釉薬・全器形の撮影を開始しました。

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愛好家の皆さんに、カタログをお届け出来るのは、まだ数ヶ月先ですが、
ごまかさず、鉢に求められる条件をひとつずつ解決してきたこの2種類の鉢群は、既に国風展にも使用されています。
数十年後、私はもういないでしょうが、鉢はその頃には、持ち込んだ味わいを呈する実用の名器になっているでしょう。

ここから、21世紀の盆栽鉢の歴史がスタートします。
楽しみにしていて下さい。