【伝承された「命」達・ご当主の想い】

7年ぶりに、信州長野県岡谷市の名園『寉龍庵』小口家へ、伺いました。
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現ご当主は、二代目・小口博正師。
物静かに多くを語らず、時折・緊張する私を和ませてくれるように、ヴィヴィットな冗談を仰って下さる紳士。
ご初代であられた、故小口賢一翁は、昭和後期を代表される大家愛好家。
私もご生前に大変なご交誼を頂き、多くの事を学ばせていただいた、まるで老師・仙人・のような方。
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国の有形文化財に指定された建築「寉龍庵」は、ご先代様から受け継がれた老樹達と共に、博正師と奥様が様々なご苦労を覚悟で守り継がれています。
真柏名樹・「臥龍」「宝船」など、日本盆栽界の伝承名木を、信州の地で、ご正業の傍らで守られること、
ご先代への敬慕、盆栽に秘められた精神と美、お歳を重ねてご先代にますますその面影が似てくる博正師を邸内を共に散策しながらご一緒していると、
いつの間にか、ご先代と過ごした刻の中にいる錯覚すら覚えました。
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「せめて、私の代までは守り伝えたい」
この言葉に、私達盆栽を業とする者は、斯界を現在の姿に導いて下さった恩人達が遺された、
文化遺産と言える盆栽達を、どのようにか?次代に伝えるお手伝いを本当にしているのか?と、自問自答して恥じてしまいます。
“これは、プロのオークションで売ると○○位だから”・・
こんな基準で盆栽を評価することが、正しいのだろうか?自分の日常を振り返ってしまいます。
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日本の古美術・茶道美術・などは、どれ程の人物が愛でたものかが、評価されます。
勿論、盆栽は刻にして姿を変えてゆきます。
表面的な形骸化した価値観も一方では必要ですが、樹は刻を刻み続けています。
その刻んだ歴史に人の歴史が重なり合ったもの、それこそが、ある意味においての『伝承名樹』ではないかと、若き日に古老、賢一翁と対面した記憶が蘇る訪問でした。