【名匠木村正彦先生 改作スタート!】

東北三陸地方から戦前山採りされた 東北真柏の巨木は、抜きん出た3点が平成の時代まで大切に受け継がれました。
その内 残念ながら2点は3.11の大津波などで今はありません。
この樹は、四半世紀以上前に 日本に残された巨木真柏の王である事を聞きつけた、
都内の著名盆栽家の切望によって、長く秘蔵されていました。
蔵者が天寿を全うして、夫人の手でしばらく守られましたが、
8年程前に高齢を理由に放出が決まり、樹の存在を知る僅かなプロ作家達の情報で私の知るところとなり、
お世話になっている現在の福島県の愛好家・舩山先生の下に移されました。
当初より“こんなに大きな樹をどうするんだ?”と、尋ねられましたが、
私は “この樹はいずれ大型盆栽としての大変貌を遂げる”という確信がありました。
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福島の吾妻山の吹き降ろす風を受けて、真柏は健常な生育をみせて、堂々とした樹相を示すに至りました。
“そろそろだ”と思い、舩山先生に「木村先生にお願いしてこの樹を世に問うものにしましょう」
こうお話したのが、4月の毎年の植替え出仕事の折です。
昨年、大徳寺芳春院ご住職・木村先生・舩山先生・を中心にお世話になっているお客様方と中国蘇州の旅をした折、
おふたりは同じ「叙勲者」として意気投合なさっていました。
木村先生も特殊な改作に対して、出仕事で他者の盆栽を出かける事は殆どありません。
事前にお見せした真柏の写真、
「舩山会長のお仕事ならば、お手伝いしますよ!」と快諾頂いた事で、この樹の将来は大きく変わる事になりました!
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木村一門の名手・栃木 藤川氏・太宰府から埼玉に本拠地を移しての森山氏。
この2人を伴っての 作業となりました!
今回は 樹筋を確認して 水吸いに枝を特殊な行程で打ち込む仕事。
まもなく80歳を迎えるとは思えない集中力で、6時間の第1次の改作作業を終えました。
「森前さん、この部分の枝打ち込みでいいかな?」あくまでも依頼した私の頭の中の構想を尊重して下さる姿勢にも頭が下がります。
日差しの為に余分な枝を捌き、鉢植えの枝を保水・固定・をして、「これで1~2年の後には、元枝を全部取り除けます」との先生の弁。
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これだけの大樹・これだけの大物が、僅か3~4年後には、別の樹に姿を変える・・・。
『木村マジック』と世界のプロが感嘆の声を挙げる意味がわかります。
今回を含めて この真柏は、完成までの道程を、月間『近代盆栽』が追跡取材して、世界に発信することになります。
1000年の命を 新たな姿へと発想した私の考えが、盆栽界にとっても、この樹にとっても、正しい選択だった事を心から祈るばかりです。
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補助手伝いとして同行した、私の所の中国研修者・郝君・趙君・にも、
二度と体験できない巨匠の技を目の前で体験する機会なった事も、嬉しいものです。
二人は この秋から、私と木村先生との友情で、1年半という短期ではありますが、
木村先生の所で、その秘技と人間修養の時を得る事になっています。
遠く故郷を離れて、慣れない日本で、朝7時から夜遅くまで、中国盆栽界に技と管理技術のすべてを習得して帰る事に、
自身のすべてをかけている若者に私の出来る事を何でもしてあげたいと思っています。
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