【充実したギャラリーの盆栽群!】

1年ぶりに エスキューブ雨竹亭の提携公司「楊凌雨竹亭園芸公司」が経営する西安ギャラリーに訪れました。
何年もかけて政府の許可を得て中国へ運んだ盆栽達は、
このシルクロードの玄関である 遠い昔の大唐國の都「長安・現在の西安」で、健やかな日々を過ごしていました。
高騰を続ける中国盆栽市場は、高額品の名木を求める富裕層から平和でささやかな“豊かさ”を謳歌する中間層へと移行して、
日本円で5~15万円のものが 需要に追いつけない状態になっています。
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西安のギャラリーは、本来の日本の盆栽をご覧に入れて 理解して頂くためのステージです。
今回 このギャラリーで大切にしていた 五葉松の大樹が、劣化して本来の姿を残さない程の状態になりました。
現地スタッフは 「ダメになった」と心を痛めるに留まっていましたが、
私は同行させた小林と、この楊凌から研修に来日して大変な日々の努力をしている2人の若者で、樹の新たな姿を求めて改作に挑みました!
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伝えたかったのは、ひとつの形ある命が、ひとつの時代の姿を終えても、
“生きている”というなによりも大切な事にもう一度目を向けて、残された樹の可能性によって、新しい盆栽としての姿が描き出せるか?
自身の今までの経験と感覚で、蘇らせてあげることです!
たとえそれが今までの価値観と違うものであれ、盆栽としての命を繋ぎ、時代に数百年の命宿る樹を遺し伝えることなのです。
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枯れた枝や幹を剥きながら削りながら、「頑張れ!新しい君となれ!」と願って作業しました。
今回出来る作業には季節としての限界もあるので、次なる姿の基本を創り上げるに留まります。
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秋冬に各枝捌きを加えて、春にはその姿に合う鉢合わせをして初めて生まれ変わるのです。
この道程も 盆栽として素晴らしいと私は思っています。
まるで人の人生の様です。
挫折や苦悩を経験した人だけがみせる心の深さ!
盆栽も園芸的に理想を求めた名木から、不幸な時間を過ごして 形を失ったものが、そこから盆栽自身の生きる力で新たな造形を生み出す!
そしてその姿は見飽きないものなのです!