帝都の杜に集められた名石70点!

日本水石界の歴史そのものと言える「日本水石名品展」も 数えて57年目。
都心の杜深き中に佇む社務所講堂と神域である内陣西廻廊。
ここを舞台に今年も、全国から厳正な審査で選ばれた秀石達が、一堂に展覧されました。

今回は特別出品として、京都国際文化振興財団「慶雲庵」より、
有栖川宮旧蔵 盆石「洞天」が出品され、併せてこの石に付属している画帳『洞天帳』も飾られました。

勝海舟・山県有朋・富岡鉄斎・田能村直入・伏見宮貞愛親王・等々、
明治を生き抜いた巨人達がこの石に賛を寄せた綴りが現存している事で、神宮の識者達も驚いていました。
徳川慶喜・厳島神社・岩崎財閥家・出陳された秀石達は、日本の歴史を共に歩いてきた遺産でもあります。

十数年前の記憶が蘇ります。
協会理事職に就いて間もない頃、この展覧も明日で終了という時に、当時の外山宮司様より
「明後日、天皇皇后両陛下と皇太子殿下がご参拝にお越しになられます。それまで展示を伸ばしてくれませんか?」
との依頼。
私と妻は、お迎え役として 当日この 西廻廊内陣にいる事になりました。
学校もろくに行けず、盆栽水石しか出来ないものが、
この様なお役を仰せつかるとは夢にも思いませんでした。
ありがたいものだと本当に思いました。
何も語らぬ石に心を寄せ、声無き声を聴く・・水石趣味は静かに深いものです。