雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴44年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

 【新たなる名品盆器制作の旅】

「均窯」の再現を夢見て2年前、西安の雨竹亭チームと始めて訪れた広州佛山市。
探し求めて辿り着いた 「龍窯の再現」へのパートナー『石峰雨竹』。
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第二段としての製作打ち合わせの為、初めてスタッフ同行で赴きました。
“2尺5寸を超える釉薬鉢”への挑戦は、釉調や狂いを出さない窯入れなど、
試練の多いものでしたが、ようやく完成に近くなりました。
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秋から冬には、来春の植替えに間に合うものを日本に到着させたいと思います。
失われた広東釉薬鉢の逸品、今苦労して作っている作品達が、
私が逝った数十年先、日本盆栽界で、国風展などに当たり前のように使われている事を夢見て、40度近い旅は続きます!
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【僅か十数年で、次代の名樹の担い手となった逸材!】

日本はおろか、中国・海外全てにおいて、盆栽界の“序列”とは無縁に「名木を見るなら宝樹園」とまで言わしめる椎野健太郎氏。
神奈川県秦野市の山間部 自然豊かな風光明媚の地に軽トラック1台から身を起こして、
いまや私も含めて日本盆栽界(特にプロの間)で知らぬ者はいないとまでなった若きトップランナー。
名門 岡崎鈴木「大樹園」での修行を経た、俗に言う“叩き上げ”。
小田原の大家小泉薫先生の所へ赴いた帰途、久しぶりに訪問しました。
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この季節、霞立つ山々に囲まれた“仙境”のような彼の庭は、前にも増して名品と言える樹々が静かな刻の流れの中にいました。
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寡黙で芯の強さを秘める椎野さん、盆栽に対する姿勢、若さ、良き仲間達、老成の時を間近にする私からは、
このような“本物の考え”を持つ日本盆栽家が、業界の垢に汚れることなく成長してくれることを、只々願うばかりでした。

【新たなる盆栽文化のテーマパークへの発信】

世界の大都市上海から僅か1時間半、水豊かにして緑深き美しい街「太仓」☆太倉 があります。
自動車関連の大工業地として発展を続けるこの地に、将来の中国盆栽界、
そして世界の人々が「盆栽のテーマパーク」と呼び訪れるようになるかもしれない 夢の計画が進んでいます。
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若き中国盆栽家 孫君。
数年前より日本で熱心に技術と市場の勉強をする姿を拝見していましたが、
謙虚でおとなしい彼が 多くの人達に支えられて この一大計画の中心となるとは思いもしませんでした。
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前回の訪問から僅かの間に、彼が熱意を持って私に語った世界は、着々と実現への道を進んでいました。
「森前先生が協力して下さったなら、私の夢は現実になります。」
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中国西安に始めて訪れて、資産家の趣味としての盆栽から、
産業の文化の一体化を形にした「盆栽文化産業・展示流通センター」という発想を論説した私の考えを実現して下さる若者と
その彼をサポートして下さる行政の方々。
まもなく60歳となる私の想いが、こうして受け継がれ形になってゆくことに、喜びと 私がやるべき出来る事の支援を考える旅でした。
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【玄虹会展に込められた、日本文化の美意識】

第10回展となる「玄虹会展」・ 盆栽水石文化に深い造詣を持たれる趣味者達が集い、
日頃の愛好の成果を、同朋と“感嘆相照らす”心で、
更にもうひとつ奥深い“向こう”に見える美と人間性を高める同好会の展覧として、毎年1回 開催されています。
通常は、この会の趣意を理解下さる京都名刹「大徳寺」塔頭『芳春院』のご住職のご好意で、同院で春秋どちらかで行われています。
今回は、秋展が続いた数年から春展へ移行する間の年として、
京都国際文化振興財団『慶雲庵』理事長・田中慶治様が所有する 名亭での披露となりました。
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「わらびの里・霞中庵」戦前の資産家が、京都の山里に“隠れ家”的な数寄屋建築を残されて、
戦後長く料亭として使用されていたものを、正業の関係で田中氏が引き受けたものです。
下足番を備える外門に掲げられている「霞中庵」の扁額は、横山大観の筆・しかも篆刻は北大路魯山人! 
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門をくぐり、庭内を進むと、深山渓谷を想わせる素晴らしい庭。
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山間に溶け込むように作り込まれた樹々・石組・苔・そして 平安の頃から歌われた「音羽川」が庭内を流れて、
その斜面を清冽な音を立てて流れる滝姿の妙。
渓谷の傾斜地に築かれた数寄屋建築は、各部屋ひとつとして、同じ趣向は無く、一室一室がまるで工芸品のよう。
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半世紀を超えてこの「隠棲の栖」を保存された歴代の所有者に頭が下がります。
展示の中身をご紹介する前に、この霞中庵が私に教えてくれた“飾り”に潜む美の源流が、
日本の美意識の根幹と言える「影あればこその光の美しさ」を伝えたいと思います。
最近の盆栽水石の展示会・展覧会は、会場形式が主流です。
時代の流れで、これも仕方がありません。
誰もが参観しやすく、搬出入が便利なのは当然の利です。
しかし、日本の盆栽界が創出した美は、盆栽だけの世界で生まれたものではなく、
古くは室町期に発生した「東山文化」の中で、御伽衆・連歌衆の手によって誕生した室礼による書院飾りにその起源を見ることが出来ます。
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ひとつの空間、直射の無い“間接光”の部屋に現出される、人と空間と対峙する実像。
そこに「幽玄」という、言葉には表しづらい「韻」を 感得するに至ったのです。
今回の「霞中庵」における盆栽水石飾りも、その本流と言える在り方を、見事に表現したと言えます。
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照明では響きを示さない仄暗い室の中に浮かび上がる玄なるもの、ただ自然の造形物や園芸創作があるのではなく、人のその時の心の在りようが、そこに感じる小宇宙なのです。
今回は総論を写真と共にお伝えして、次は幾つかの席について申し上げます。


菖蒲咲く明治の杜、日本各地より精選された名石が、一堂に集う「日本水石名品展」も、
58回の展覧となりました。

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特別出品の『豊公由来唐石』『甲斐武田家由来盆石』などを筆頭に、

精神性深い雅石・涼を呼ぶ水盤石など、神宮社務所講堂と本殿東廻廊に六十余石の圧巻の展覧です。

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先週の「奉納盆栽展」に引き続きのこの催事は、訪れる海外からの大勢の方々を魅了しています。

(明治神宮は都内屈指の観光地としてNO1の名所です)
盆栽作家として、海外にも知られる 春花園 小林國雄 理事長をはじめ、

鈴木伸二氏、蔓青園 加藤崇寿氏、そして国風賞受賞愛好家の方々も、水石家として 名を連ねています。

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10日までの大展覧、名品を無料で観賞できる絶好の機会です!

ご覧下さい!

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