雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴44年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

【朧月に枝垂れ桜の盆栽飾り!】

平成最後の桜、雨竹亭 盆栽飾りの“定番”とも言える 枝垂れ桜も満開の時となりました。
麗らかな春を告げる「清明」の節気。
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名筆 森公挙 の 朧月にかかる 一重咲きの枝垂れ桜は、美しくも儚さを秘めた、
日本人の心情を表した「もののあわれ」の美を感じさせてくれます。
中国広州登り窯で 誂えた 均釉の鉢・脇床の深山の雪解け水を見せる渓流石。
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潤湿な日本の季節が席中に満ち溢れています。
日本人は 何故儚く、いずれ消えゆく姿に 深い美を感じるのでしょうか? 
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永遠でないひとときの移ろい。
自然と言う何ものにも代え難い 自分を取り巻くものと、刻と言う至高の価値。
私は盆栽や水石に、日本人が心の原風景に持つ 美意識が潜在していると思っています。
いつかは、その命題とも言える
 “盆栽とは何か?水石とは何か?己とは何か?”を、拙文に残す機会を得たいと願っています。
勿論 未熟な還暦、ここからの“先”に見えるものを日々有りのままに受け入れながら、
まだまだ この旅路を続けなければ かけないとわかっていますが!
(この ブログも、実は羽生から出かける前に“咲いたらこう飾って”と、指示して撮影してもらった写真を見ながら書いています!こんな事じゃ、当分 ダメですね!)


【木村正彦先生の 名作の維持管理の使命】

中国某大都市に 多数所蔵されている日本の名木を、
私と木村正彦先生の高弟 森山義彦氏・エスキューブスタッフ2名、
OBとしてまもなく宮城県多賀城市に新たな盆栽園を開く加藤充氏・そして羽生で技術の習得に励む西安の2人、
西安からの応援2名、総勢9名で、5日間で約80本の植替えという 刻の中にいます。
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日本から遠くこの大陸に多くの盆栽が渡っていますが、中国には 愛好家に対してのアフターメンテナンスのシステムがありません。
どちらかと言えば、プロとされる商売をしている人たちが自分の目と力を誇示して、威張っている感じです。
特に高く売れる事には頑張るのですが、その後の手入れや巡回サービスなど、
儲からない事は 超高額品を買ってくれない客とは 面倒くさがってしないという状態です。
訪れたお客様の所は、スタッフの方々の日頃の管理も素晴らしく、日本の盆栽を大切にしてくれています。
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中には木村正彦先生の名作と言える真柏もあり、先生の弟子である森山義彦氏の同行で、手入れ製姿・植替えを行いました。
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盆栽に生きる日本人の 姿勢を語ることなく、仕事で見ていただこうと、スタッフと朝7時〜夜7時まで、泥だらけで 頑張っています。
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この地で生き続ける盆栽達の為にも精一杯の仕事をして帰るつもりです。


【木村正彦先生の真柏と寒桜】

彼岸を超えて 各地からソメイヨシノの開花が伝えられる中、盆栽も季節の移ろいを日々現す頃となりました。
月末から月初にかけて 久しぶりの海外。
今回は約100点の名木の植え替えを現地で行う為、熟練のスタッフから見習いまで、総勢9名で 渡航します。
10日間も羽生をこの季節に空けるのは、芽出しの季節、心苦しく辛いのですが、
日本から渡った真柏などの名樹達を手入れをせずにそのままにしておくわけもいかず、お手間賃も有難いほど考えて下さる愛好家。
せめて 出かける前の“今”を応接室に設えて行こうと思いました。
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帰国する頃には 桜は満開を過ぎ、名残の葉桜、盆栽も この寒桜を早春飾りの最期に、
ここからは枝垂れ桜の儚い美しさが、庭内・室内を満たしてくれます。
先日 名匠木村正彦先生の所から来た、真柏の大型古木に満開の寒桜。
朧の月の掛け軸と共に、寒桜の“刹那”の美・真柏の連綿と続く荘厳な命の営み、盆栽の持つ美と精神の両面を飾ってみました。
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・・・やっぱりこの季節はこの羽生、日本にいたいです!


【著名盆栽園主 多数参加、約2500万円の取引高!】

3月19日 栃木県鹿沼市 花木センター内 緑の産業館(以前エスキューブで、至宝展・風雅展を開催した建物)で、
北関東盆栽組合主催による 春の大会オークションが開催されました。
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地元は勿論の事、私達 埼玉県の盆栽業者や日本盆栽界を代表する園主達
(蔓青園・今井水光園・大嶋日本盆栽協同組合理事長・山北松月園・等々)
が揃い、将来の名品となる逸材・季節の美しさを奏でる樹々・味わい豊かな風流な樹・盆器・水石、
夕方までかけて、競り声は続きました。
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激減する素材・流出が続く名品・様々な想いを胸に各自は 作品の自己評価と競り値に、一喜一憂していました。
お陰様で、エスキューブも予定通り2トントラック二段積み一台分の仕入れが出来ました。
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【温暖化で予定急ぎ!】

「三寒四温」と言う言葉は既に死語。
染井吉野の開花宣言も全国で早まっています。
盆栽も雑木盆栽を中心に 芽の動きが早くなって、鉢映りや根の老化による植え替えが必要なものを、
早めに施術しなければならず、先日 スタッフ8名を集合させて2日間で60点の植え替えをしました。
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特に鉢映りは、ここからの3~4年のその樹の姿を決める大切なもの!
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羽生の庭内に2000点以上ある鉢でも、ピッタリと言える鉢合せをするには苦労があります。
用土も老成した樹・成長を必要とする樹・実成りを促進する樹、
それぞれの樹に合わせた配合と混入させる肥料分が違います。 
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大切な僅か5~8度の角度の差による樹の正面の捉え方も、その盆栽の表情を大きく変えるものです。
エスキューブ雨竹亭は、年間に800~1000点の盆栽が動きます。
ありがたいことですが、その為に前年に新たに雨竹亭の“家族”となった盆栽達は、
根の処理・鉢映り・樹の表情への創出・など、様々な処置が必要となります。
まさに春は戦争です!
そんな中でも、お世話になる愛好家の皆様のお手入れ(出仕事)も欠かせません。
羽生に在園出来る時間のすべてを“次の季節を無事に美しく過ごす”為の手入れの時間にします。還暦となった中、2日続けると腕が上がらなくなります(笑)。
その分、若きスタッフ達が、まるで盆栽が徐々に仕上がってゆく様に ある程度 仕事を任せられるようになってゆく姿が 嬉しいものです!

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