雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴47年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”


【お客様をお迎えするありがたさ‼️】

コロナも蔓延防止措置の解除で、各地の連休も多くの人達が、久しぶりの行楽を楽しまれる中、
羽生雨竹亭も、十数年来続けていた春と秋の観賞会を控えて2年。
ようやく庭にお客様をお迎えできる機会となりました。

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閑散とした庭園が以前のように、様々な地方から愛好家・ご家族連れ・カップルの若い方々等々、連休中にいらして下さる事を願っています。
庭園の“築山“風の姿も、開園当時の杉苔の島々へ戻しました。

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翠に映える築山の杭棒に種々様々な盆栽達。
展示場の水石・樹鉢・水盤・掛軸・応接室の床飾り。
雨竹亭の本来の“映え“の姿、植替えの慌ただしさの中でも、頑張って清めた達成感があります。

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世界を取り巻く紛争・コロナの行方、心を痛めること多い中、せめてこの庭に盆栽達といる時間を、
日本の自然と文化の豊かさを満喫して頂ければありがたいものです。

鑑賞会の様子を動画で撮影しております。
よろしければご覧ください。
※YouTubeに飛びます
 


麦畑の空に雲雀が囀る季節、盆栽の藤は野山に一足早く、美しい花姿を見せてくれます。
羽生応接室にも、“野田藤“の古盆を飾ってみました。

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滝のように下がり咲く、紫色の花々。
透き通るような花景色は、他の盆栽では表現出来ない“艶やかな美しさ“があります。

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季節に合わせて、空高くに鳴く雲雀の掛物を取合わせました。
画中に余計なものを描かず、ただ空に舞う雲雀のみ。

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これが却って盆栽との景色の一体感を演出してくれます。
私が修行時代の40年以上前は、藤の花時期がもう少し後だった気がします。
温暖化のせいでしょうか?
盆栽達の季節も少しずつ昔と変化しているように思います。

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桜の花があっという間に終わって藤が咲き、これも僅か10日間で、今年の“ご馳走“が過ぎます。
歳のせいか?
季節の移ろいに追いつけない自分を感じるこの頃です(笑)


【森山義彦氏・内閣受賞後初の名樹に挑む❗️】

貴重盆栽として蒋介石が愛培したと伝わる赤松名樹「群鶴」は、蒋介石ゆかりの地、台湾の著名愛好家、陳祥甫氏の愛蔵樹。
ご縁を頂き、長く羽生雨竹亭で管理をしています。

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『第8回世界盆栽大inさいたま』にも、陳氏が出品され、奥様共々来日して、圧倒的な観客の多さに驚かれていました。
昨年の京都大徳寺「芳春院盆栽庭園」開園記念展示にも古都の名刹に拡張高い姿を披露頂きました。

「群鶴」の名で広く盆栽界に知られるこの樹は、戦後間もない頃から展覧会に出品された記録を持ちますが、
年々の培養により、本来この樹が持つ独特の幹芸とそれに合い和す枝作りが、徐々に丸みを帯びた、穏やかな樹相へと変化してゆきました。

日々、樹と過ごす中で、“往時の人達がこの樹に求めたものは何だったのか?“と言う気持ちが大きくなり、
近隣に居を構えて、盆栽作家として王道を歩み始めた若き盆栽作家、森山義彦氏に
“持主の許可が出れば、貴方の作家としての階段のひとつになるような、施術をしてくれるか?“
を尋ね、了諾を得ました。
それから台湾に連絡して、
“本当なら台湾に持ち帰りたい樹、しかし、検疫上、根を洗うことは樹への負担が大きすぎる”
と、以前話した事で、陳氏は“何よりも歴史的な樹の健康を優先してほしい“と理解して下さり、
羽生の地に置いてあるのです。

今回の私の思いを申し上げると「すべてお任せする」と返事を頂き、森山氏の挑戦になりました。

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『月刊近代盆栽』に相談して、この作業のすべては、いずれ近代盆栽に掲載されます。

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盆栽作家の方々は、“改作“と言う名のもとに“この樹がこんなふうになった!“と言う発表が多い昨今ですが、
日本の名樹達は、私達の師匠、そのまた師匠、そしてそれを愛蔵されてきた歴代の大家達の心が守り伝えたものです。
盆栽は生きています。
年々その姿を変えてゆくのは当然ですが、樹の持つ“個性“や、その樹に先人達が求めた美を伝承することはとても大切なことだと思っています。
その為にこの赤松「群鶴」を“今の群鶴において、描ける在り方“を森山氏にお願いしたのです。

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手入れ前・手入れ後の写真をご覧になって、感じて下さい。
盆栽は持主や手入れをする作家が、対峙して感じ取った“貌“になっていきます。
ここから、しばらく森山氏のアトリエで、培養・芽切り・いずれは鉢映りも再考する時もあるかと思います。
近代盆栽にその勇姿が載る時を楽しみにして下さい。


植替えの慌しい毎日の中でも、寒さ除け(25mの大型木造室・ビニールハウス4棟)をしていた樹々も
芽伸びを抑える為に、屋外の日当たりの良い棚場へ出して、庭園の方も季節らしい飾り方へと変化してゆきます。

応接室ももみじ「獅子頭」の新緑の美しさを楽しむ飾りになりました。

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掛物も間もなく“揚げひばり“へと変わる前、“名残り“を込めての最後のおぼろ月。
渓流の景を水石で表現して、目を向こうへ向ければ、
季節が変わる中でも、深山の奥深い山々には、気高く真柏が命を削りながらも生き抜く姿があります。

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手入れの忙しさで、目の回る今。
こんな時だからこそ、お越しになる盆栽趣味の皆さんに、“盆栽の庭園はいいなあ!“と感じていただけるようにしていたいものです。

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【大徳寺・芳春院盆栽庭園 大型盆栽の植替え!】


開園から1年を迎えた「芳春院盆栽庭園」普段は1日だけ休園日を設けて羽生からの盆栽入替をスタッフ達と行っていますが、

今回は初の現場での超大型盆栽の植替えをしました。

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旧高砂庵の代表的五葉松「大納言」伏見宮貞愛親王旧蔵の「宮様楓」など、

プロが4人でも持ち上がらない大樹群。

4日間かけてようやく陽春の盆栽庭園が落ち着きました。

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庭園そのものが“大きく“、国風賞クラスの盆栽が“レギュラーサイズ“に見える庭園!

いざ植替えに取り掛かると、ひとつの作品を仕上げるのに四苦八苦!7種の配合の用土もみるみる減ります!

中には15年近く1度も植替えがされなかった樹もあり、根の状態を確認しながら急げど慎重に作業を進めました。

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庭園を守り続けることが私達の役目。ようやく1年。

そしてまだ1年。

禅と茶の湯と中世日本の文化と歴史が凝縮された禅林。

この地に盆栽庭園があり続ける事こそが、未来の盆栽界を拓く事と役目の重さを痛感しています。

よく友人や同業者達に“商売にもならない事を何故無理してやるのか?“と言われます。

勿論大変です。

でもこの庭を守る事、そして次の時代に残すことが、何よりも大切なのを感じているからです。

機会があったら是非ご覧になりにいらして下さい。



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