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盆栽歴45年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”


終戦記念日の15日、羽生の温度計は40度を超えていました!

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テレビの天気予報は熊谷・羽生地方は、38〜9度となっていますが、体感温度は40〜45度だと思います。
私が修行に入った頃、45年前は、暑い日で30〜32度だったと思います。


何万年もかけて種として存在している盆栽達も、たった数十年でこれだけの変化があると、生理的についてゆけないものがあります。
庭も数年前より、各種の日除けを設備していますが、松に日除けをするなど、考えてもいませんでした。

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朝もあまり早く水かけをすると、日中に乾きが強すぎて、8時頃に朝の水を与えるようにしています。
夕方の水は、渇きのあるものを中心に、全体には樹と周りの庭の温度を下げる目的で「葉水」と言うシャワーのような水かけをします。


8月も25日を過ぎると、朝夕の風が少しだけ変わっています。
そこまでの辛抱!盆栽達も必死に我慢しています。“ガンバッテ!“
不思議なもので、35度を超えると樹も水をあまり吸いません。
30~32度だと渇きも良く、樹も“夏バテするんだなあ“とつくづく思いました。


季節は巡ります。
ついこの間までの長梅雨。

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“早く梅雨明けしないかあ、青空しばらく見ていないなあ“と呟いていたのに、
今は“ひと雨欲しいなあ“・・もしかすると、人の心が一番わがままなのかもしれませんね!


お得意様に納めてある、木村正彦先生の有名な真柏石付作品。
培養を重ねると各部分の繁茂と徒長をして、全体を締め込む手入れが必要となります。
木村先生の所に毎週3日ずつ住込で、特別指導を頂いている羽生雨竹亭のハオ君とツァオ君。
大型真柏の手入れをする私の隣で、この樹の仕事を任せました。

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“半日くらいかかるかな“と思ったら、2人で僅か2時間で仕上げました。
朝7:30から夜は10時位まで、自分の技術の向上の為に頑張る2人。

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木村先生も「この2人は、あと2年私の手元にいられたら、本物になるよ」。
残念ながら、彼らは今年いっぱいで、3年の研修を終えて、母国へ帰国しないといけません。
ご両親とも離れて頑張る彼らを見ていると、“あと2年ここにいてくれたら“と思う気持ちを中々伝えられません。

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でも、私はこの子達が、日本にいる間に教えられる事を精一杯教えて、生まれ故郷の中国へ帰って、
すぐに商売などせず、王永康先生のような大師のそばで、更なる腕を磨いてくれればと願っています。
でも、少し残念なのが、今日本にこの子達のような想いで、日常を送っている若き盆栽家の卵が、どれだけいるのだろう?と思う事です。
自分を磨く為に、寝食を忘れる・・
私の年代が心に思ったあの頃の情熱は、もう古いのでしょうか?
日本という国は、そんな思いが作ってきたと思うのですが。


八月、暦の上では立秋ですが、それは名ばかり!
ここから暑さも本番です。
今年は長梅雨で、地面の温度が昨年ほどにまだ上がっていません。
30〜33度、日本の中でも最高気温の高い羽生では、猛暑となれば、35~38度!
盆栽も夏バテしないように、各所に寒冷紗や日除けの設備を施して備えています。

床の間の飾りも、何処かに暑気を払い、涼を呼ぶものを心がける今です。

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揖斐川石の深山渓谷の一部を切り取ったかのような石が入ったので、飛沫をあげる滝下の景を現す水盤飾りを準備して、それに合わせた掛け物を設えました。

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「滝に鶺鴒」武部白鳳の作。
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峻烈な滝を横切る一羽の鶺鴒。
まるで眼下の揖斐川の岩溜りそばの渓流に棲む獲物を狙うようです。
大型の水盤石、掛け物をやや控えめの大きさにすることで、席全体の間調子を保つようにしました。
脇には五葉松の文人調。

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主石と喧嘩しないように、こちらも弱めの取り合せ。
景趣に合わせて、半懸崖の険しさのある盆栽でも良かったのですが、水石と力がぶつからない事を大切にしてこの樹にしました。
“場に合わせて飾る”・飾りの基本ですが、何度設えても、100点など程遠く、いつも反省を覚える為に繰り返しているようです(笑)

コロナで動きづらい日々。
せめて席飾りの中で、自然の素晴らしさを満喫して頂ければと願っています。
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商用と京都盆栽美術館の打合せで、長野県小布施町の鈴木伸二さんのアトリエに伺いました。

東京に隣接する埼玉県の私達と違い、長野県ではコロナ感染に対して、とてもナーバスになっているそうです。
感染者が出ると、信じられない話ですが、近隣の住民から家に石を投げられたり、様々な嫌がらせを受けるそうです。
確かに、“夜の街“や居酒屋などでの宴会をして、となれば、非難すべきものもありますが、
仕事に励み、感染にも注意をした上での罹患となれば、誰もがありうる事で、本人にしても本意であるわけもなく、同情すべきものもあるくらいだと思います。


それとは別に、相変わらず彼のアトリエは、美しく、清潔で、そこに“住んでいる“盆栽達は、日本の名品のオンパレードと言える内容です。

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国風賞を受賞した盆栽だけでも何点あるのか?多数の京都財団の名品盆栽達の圧巻の内容。

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一般の愛好家から同業者の市場の商品、銀座店からのお客様の依頼による樹勢回復を頼まれた傷んだ盆栽達、
羽生は苗木から傷病兵、そして将来の名品、多種多様、鈴木伸二さんの所を美術館に例えれば、我が家は総合百貨店とホームセンターの混成部隊!
それでも、樹齢数年の樹を化粧鉢にスタッフが植えて、それをカップルの若い方々が「可愛いね」と求めてくれる時、とても嬉しいんです。
羽生でやれる事、銀座で役に立てる事、若いスタッフと頑張ります!
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2月の東京都美術館での『日本の水石展』以来、コロナ災禍の為、お会いすることのなかった、協会理事職の中川さんの所へ伺いました。
ご本人は、ご家族の気持ちもあり、上京は勿論、ちょっとした遠出も儘ならない日々!
数ヶ月をずっと長岡のご自宅での在宅で、出かけられないストレス!
本当に胃に穴が開いたそうです‼︎ 

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久しぶりの訪問でしたが、程よい大きさの庭にも盆栽や草物が美しくあり、邸内には中川さんらしく、各所に水石三昧の姿がありました。
本人は「ずっとここにいて気が滅入ってしまうよ」と仰っていますが、趣味というものは、こういう時にありがたいと思います。

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“この石をどう飾ろうか?添え物は何が良いだろうか?掛物は?”等々、思案をして、席を考案する。
水盤を替えるだけでも、石の見付きを僅かに動かすだけでも、そこに浮かぶ景趣が変わります。

同朋のコレクションを見ると、妙に欲しくなるのは、私の悪い癖!
譲ってくれなきゃ、帰らない!と、駄々をこねて、相変わらず!ニコニコしながら数点の良石を割愛してもらいました!

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遠い越後の地で、水石趣味の王道を楽しまれる先輩。
道の深さを同じように理解している方との刻は、あっという間です!
(本人には、また何を欲しがられるか怖いから、早く帰れと言われましたが・笑)
楽しい旅でした!

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