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盆栽歴45年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

【仕上げ手入の盆栽達!】
11月1日から5日間の『秋の観賞会』・年に2度 多くのお客様をご案内する催事です。
庭内の乱れを直して、盆栽のひとつひとつを少しでも来園される方々に、美しくご覧頂く為の 手入や準備が始まりました!
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季節の実物や葉物は、まだ色付きをしませんが、松柏類は 秋の陽射しと気候で、充実の色合いの葉姿を見せています。
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まだ手入れを終えていない状態ですが、18年 私の庭から世の中に出ていない真柏を床の間に設えてみました!
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『乾坤之神龍・けんこんのじんりゅう』と名付けたこの真柏は、
真柏の山採り名匠・亡き初代井浦勝樹園翁より四十代初めに譲り受け、枝も殆ど無い頃から作出に努めたものです。
相生に生きる幹姿を「乾坤・天と地」になぞらえて、“天の龍・地の龍”という意味で命名しました。
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取り合わせた掛け軸は、江戸期名筆家・狩野探幽「三日月図」天空の夜に煌々と輝く三日月を探幽が銀泥で描いたものです。
真柏の持つ 神韻響く幽玄な姿を、その際立つ鋭さからこの掛け軸を選びました。
他にも“この樹はこう捉えてみよう!この樹はどうしようか?” 
まだまだ観賞会まで 思案の時間がかかります。
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羽生で2年、中国西安から盆栽技能の研修に来ているハオ君とツァオ君。
朝7:30から夜は作業が終わるまで、日夜 未来の自分の為に頑張っています。
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大学を出ていない彼等が、母国で身を立てるには、盆栽技術者としての技を磨くこと。
日々の一生懸命の彼等の姿は、私は勿論のこと 私と同じ11年の住込み修行をした名匠木村正彦先生の心も動かしました!
「森前君、彼等なら私の技を教えるよ」
感謝感謝です。
12月に開催される「日本盆栽作風展」に新鋭作家部門で今年も挑戦しました!
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昨年はツァオ君が受賞した奨励賞を今年はハオ君が見事受賞しました!
最終的な仕上げの針金整姿を木村先生に指導して頂いて、鉢・卓・などの合わせも羽生で指導しました。
プロとしてはまだ入口の所ですが、等身大の自分を見つめて来年の作風展には、
日本での最後の作風展に更なる上を目指して頑張って欲しいです!
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おめでとう🎉  可愛い息子達。

【名鉢名水石・一堂の大展覧!】

未曾有の台風災害で沈痛の日本、その最中ではありましたが、
日本盆栽協同組合50周年を記念した大展覧が上野グリーンクラブで開催されました!
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国風展へ出品される殆どの樹を扱い、盆栽作家の登竜門「日本盆栽作風展」への選考資格者でもある盆栽組合員達。
半世紀の想いを込めたからこそ、これだけの名品が一度に集められる事は、今後もないと思います。
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数々の歴史を彩った名樹達・日本水石界を代表する名石・現物を見る機会はプロでもあまりない名鉢群。
被災された多くの方々への事を思えば、“なんでこの時に”と日程を恨む程の“二度と出来ない展示でした。
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私も 蔵品の内閣総理大臣賞を受賞した真柏と古渡烏泥を飾らせて頂きました。
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祝賀会場には、今年の作風展の大賞受賞作「赤松・漆畑大雅氏作」が会場の華を添えていました。
親交深い尊敬する木村正彦先生の門人として、その技量は以前より高く評価されていた人物、遅咲きと言えるくらいです。
業界に身を置いて45年、展示された数多の名品を見れば、自分が扱ったものも多く、若き頃の記憶が蘇ります。
還暦の今、もう少し頑張ろうと思いました。


記録的な脅威が心配な台風19号、私達盆栽家は すべての仕事を中止しても、樹を守る事に尽くします。
出来るだけの盆栽達を暴風雨から防ぐ為に、応接室・展示場・手入小屋・スタジオまで、取り込める所全部を使って樹の安全を第一にします。
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幾星霜をかけて先達の盆栽家達が守り伝えたもの、一度の天災でその継承を失うわけにはいきません!
それでも羽生の盆栽は2000点以上。
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全部をしまうわけにはいきません。
老幹の肌を大切にしたいもの・葉物・実物・文人樹・伝承名樹。
そして何よりも大切なのが、お客様からお預かりしている盆栽達。
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日本は島国なんだと海外から帰るといつも思いますが、災害は来て欲しくないですね。
台風一過の秋晴れを祈るばかりです。


※掲載している画像は昨日11日に撮影されたものです。


私に真柏盆栽の圧倒的な迫力と年輪の凄まじさを教えて下さった、須坂市の井浦さん。
三陸の海岸に聳り立つ 断崖絶壁に、数百年の命を必死に繋いだ真柏達。
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その命の造形を井浦さんの庭で拝見して20年の時が経ちました。
天国に逝かれた先輩は、ご子息貴史さんという、自身が生涯をかけて残された原木の数々を大切に受け継いでいます。
先日久し振りに 須坂に出向く機会があって、貴史さんとゆっくり話す時を得て、
父君が遺した真柏の中から、一樹を譲って頂くことになりました。
彼の所で 真柏改作の技を学ぶ小林君に “思うように好きに仕上げてみて!”と、
未来の名木を未来の盆栽作家に託しました。
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北陸に赴いた帰路、立ち寄れば、彼がこの樹と取り組んでいる真っ最中でした。
“思いっきりやってね!” 
それだけを伝えてよけいな “ああしてほしい・こうしてくれるといい” など、若き栽匠が迷うことのないように退出しました。
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まもなく 羽生にこの樹は到着します。
そこからは、この樹がどこまで登りつめて行くか!私の仕事です。
仕上がった姿を近日お伝えしますので、乞うご期待!

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