雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴47年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”


コロナ禍で、「日本水石名品展」の主会場としてご協力頂く、明治神宮。

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3年の開催が中止される中、日本水石協会では、名誉会長である同神宮のご配慮で、
内陣回廊での「奉納盆栽展」は、この期間も休まず続けて、
今年も神宮の菖蒲の花咲く季節、名樹の数々と協会選抜の名石群を陳列して、
参拝される内外の方々に、日本文化の象徴としての盆栽・水石をご覧頂いています。

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神宮所蔵の五葉松を中心に、京都国際文化振興財団『慶雲庵』より杜松名樹「東濃の杜」、
九霞園旧蔵・伊予滝石「蒼龍」など、少しずつ人が増える都心の聖地を訪れる方々が、感嘆の声をあげておられます。
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6月7日まで展示される本展。
邪気を祓う帝都の杜で、清浄な空気の中に佇む古樹達に会いに来てください。
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【新しい時代の展覧会❗️】

東京立川市にある“昭和記念公園“、国立の盆栽園がある事で知られていますが、
今回2年ぶりの開催となった『春風盆栽展』に友人の鈴木伸二さんからのお誘いで訪れました。

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現代的な解放感ある建築の中に広がる各種展示、著名名樹から子供達への盆栽のアピール、
そして鈴木伸二さんが企画した「九頭龍の舞」と銘打った、真柏9点が競演した象徴的な展示。

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一般の方々に盆栽の素晴らしさを伝えようとする主催者の熱意が、見事に表現されたとても印象深い展覧でした。
盆栽展と言えば、どちらかと言えば、マニアックな上級者向けの、名品の競い合いが通例ですが、
この展覧は、初めて家族連れで盆栽と触れ合う人達に焦点を当てた“これからの盆栽界が見つめるべき方向性“をピタリと当てたものだと思います。

伸二さんと話しましたが、若い人達、幼い子供達の手をひいたお母さん達、“すごいね!“ や
 “面白いね!“  など、素直な視点での“盆栽との出会い“は、将来に対しての一筋の光にも似た喜びを感じます。
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“森前さんも来年是非参画して下さい“と伸二さんに言われ、また、忙しい日常にムラムラと“楽しい事したい“  という病気が起きそうな1日でした(笑)


5月下旬から6月の初め、盆栽界にひときわの華やかさが始まります。
さつき盆栽達が一斉に見事な花姿を見せてくれます。
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さつきは趣味の底辺が広く、“さつきの趣味から始まった“とする盆栽愛好家も多く、
専門のマニアもいれば、丈夫で作りやすく、盆栽の登竜門としての大切な樹種でもあります。

花物として花期の単品飾りが主流ですが、時には床飾りも楽しみたいものです。

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長年羽生で培養してきた「光琳」の花が咲き始めたので、今の季節に合わせた飾りをしてみました。

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美しい真紅の剣咲きと言われる花姿、大樹の相を見せるこの樹に、潤湿な空気感がある今、おぼろな月の天空に翔ぶ一羽の郭公。

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“一閃を翔ぶ“と呼ばれる郭公はホトトギスとして、古来より季節を謳う鳥で和歌や詩文にもよく詠まれています。
ホトトギスの掛物を選ぶ時は、鳥自体が、画中で大きくなりすぎない事が大切です。
鳥の姿が大きければ大きいほど、席全体の景色は“近景“となり、
場合によっては、配する盆栽との大きさによる合わせが上手く行かなくなります。

さつきに花が咲く頃、見上げれば空に線を引くように一羽の郭公が飛んでゆく。
山里によく見かけた自然の有り様も、今では貴重な景色の記憶になりつつあります。

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脇に少し早めの“岩がらみ“を飾る事で、“葉の緑“を伝えたい季節を補ってくれます。
盆栽・水石・山野草・それぞれの季節の美しさ、移ろい、何よりも大切にしたいですね!

【盆栽・水石の “飾り方“  について】

最近は若い方々にも盆栽や水石が広まってきた感があって嬉しいことです。

初心者的な栽培方法から、樹造りのマスターへ、そして展覧会などに見られる名品へ鑑賞と憧れ。
誰もが辿る趣味の道ですが、近年、盆栽も水石も、単にその本体だけでの評価や楽しみに特化してしまっている感があります。

本来、この趣味は最終的にその盆栽水石を自身の感じる“世界観“や“自然観“、そして突き詰めれば、“人生観“ 的な飾りへと昇華して欲しいものです。

例えば、文人樹と言われる、細身の飄々とした松は、それ自体だけで観れば、
真柏などの迫力ある舎利幹などの自然芸術性に圧倒されがちなもの、
でも、その樹を掛軸と合わせたり、水石や山野草と組み合わせる事で、その樹の周辺の景色や、その樹に求める世界観が、広がっていきます。

水石にしても、静かな一塊の石に、その周りの景趣を想わせる道具と取り合わせる事で、
まるで石に自然界の命が宿されたような景色が浮かび上がります。

日本人は、日常の身の回りに四季折々の自然を取り入れた生活を楽しんできました。
それを盆栽や水石で表現できたら、どんなにこの趣味が奥深くなるでしょうか。

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京都大徳寺の「芳春院盆栽庭園」でも、庭内の大型名木の鑑賞とは別に、
展示場には、誰もが持ちやすい楽しみやすい中型の盆栽や水石を使った総合的な飾りを日々披露しています。

皆さんも、ご自分の盆栽や水石を、“ひとりぼっち“の世界から、遥かに広がる世界にしてみませんか!


風吹く飄々とした松。
足元には爽風になびく風知草。
これで季節が表せます。
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風雪に耐えて生きた真柏の姿、左に遠くに見える山姿の鞍馬石。
掛物は「鳥鳴きて山更に幽なり」鳥が鳴き山々は大自然の大きさを謳っていると言う、
自然界の“あるがまま“を伝えているものです。
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吹き荒ぶ自然の中に生きる松の姿、
眼下には渓谷の清流や滝に見える貴船石を“水気“を感じるように水盤に仕立てています。
掛物は江戸期の名筆、狩野探幽の「波濤」水気を意識した飾りです。
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先日、大徳寺龍泉庵から1匹の老猫が行方不明になりました💧

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名前は“空“  空ではありません。
禅寺で育ったので、“色即是空“から、“クウ“  の名になりました。
元々、芳春院和尚様のご親族が、九州から京都へ移られる時、一緒に来た猫です。

年は8才の雄猫、1年前まで京都七条の臨済宗大徳寺派の寺に居ましたが、
“家族“と共に去年から本山の塔頭“龍泉庵“に暮らしていました。

5月22日、普段は庵の中で暮らしていたクウちゃん。

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悪い偶然が重なって、普段は開けない龍泉庵の玄関、それでもそれだけなら庵内の庭に下りるだけなのに、
時悪く、盆栽庭園の入替作業で、玄関のすぐ近くの裏口の門が開いていました。

広い大徳寺の中、何処かに潜んでいてくれたらと、家族が探しましたが、いまだ帰って来ません。
慣れない土地、日頃には無い景色、今は唯々、無事に戻ってくれる事を願うばかりです。

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小さな命ですが、可愛がっている家族にとっては、かけがえのない命。
私たちも、物言わぬ盆栽達と共にいます。
声なきからこそ、寄り添ってあげたい気持ちは一緒です。
クウちゃん、優しい皆んなが待っている寺に帰って来て❗️

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