雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴49年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”


【水府散人・小泉 薫・旧如学庵・錚々たる出品!】

先日、私も事務局長を務める一般社団法人「日本水石協会」の 文化催事経費を捻出する為の協賛オークションが、
今回は上野グリーンクラブから 私共の羽生雨竹亭に会場を移して開催されました。
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総出来高1億900万という大型オークションとなったのは、ご参加頂いた関係者皆さんの応援のおかげでした。
約100名の参加者の殆どは、プロ専業者の皆様です。
木村正彦先生・鈴木伸二先生・近代盆栽 徳尾会長・内外問わずの著名業者の熱気ある掛け声で、
名盆栽・名石・各種道具が 朝8時半から夜8時に終了するまで、8割以上が成立落札という好成績でした。

羽生に新設された小社の大型収蔵庫のこけら落としとしても、最高の会でした。
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特に、水石界の伝説的巨人『水府散人』のご遺族による 遺されたコレクション、
斯界大家 小泉薫様のコレクション、そして水石界に名を残す最上級の愛好家『如学庵』コレクション。
予想を上回る珠玉の数々が、12時間近いセリ中の弛みも見せない 空気を作ってくれました。

銀座を開いて間もない頃、高木美術館の要請で財団設立10周年を記念した企画を任された時、
迷わず『水府散人回顧展』を、会場・記念帳 を 自費で行ったことを昨日のように思い出します。
大奥様からご連絡を頂き、出品となった品々も、私が回顧展を終えた時、水戸の書斎にお戻ししたままで、邸内に飾られていました。
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懐かしさもあり、なるべく自分で落札したいと挑みましたが、結果は僅か数点しか買えませんでした!

“水戸のお屋敷のご蔵品は、奥様健在の内は 一切手を付けない”と心に決めての20年。
ご家族の皆様の要請で、羽生でそのすべてを 私が競り人として扱うこととなったのにも、長い時の中の、不思議な縁を感じました。
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今回の収益で、現在開催中の『第5回 日本の水石展』の 不足予算と、
昨年開催された「世界盆栽大会・日本の水石100選展」の 図録製作の加増予算が出来たこと、本当に有難いと思っております。


【徳川家 旧蔵 加茂川石「葵園峰」特別公開】

(一社)日本水石協会が 水石文化の啓蒙の為に、4年前より始めた
東京都美術館『日本の水石展』の、5回目の展覧が14日〜17日まで開催されます。
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第1回展に 愛好家の誰もが知る名石、上野寛永寺蔵 盆石「黒髪山」が 特別出品されて以来、
毎回 展覧の首座に 斯界を代表する 名石が公開されます。
今回は 昨年 “大政奉還150年”を記念して、京都二条城において久し振りの公開となった、
德川慶喜家旧蔵の 大型石「葵園峰」が “東下り”の形で 古都より出品となりました。
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150石に及ぶ 各地の秀石を、一度に観る 絶好の機会、僅か4日間の公開ですが、
お誘い合わせのご来館をお待ちしています。
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【エスキューブ雨竹亭 最大ブース】

日本盆栽界 最高峰の展覧「国風盆栽展」が開幕しました。(2月16日まで)
これに併せて 日本盆栽業界の大手が勢揃いする『立春盆栽大市』が、
上野グリーンクラブ(小僧時代から関わる私には東京盆栽倶楽部と言ってくれた方が馴染みいいのですが)でスタートしました。
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小店も毎年この本館の2階に大市最大ブースを開設させて頂いています。
海外からの盆栽熱の波で、市場の動向(価格帯)が微妙に変化する中、
本来の愛好家の皆様にお楽しみいただけるイベントブースになるよう心がけてみました。
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欲張りなもので、名樹も飾りたい、名鉢、名石、風雅な盆栽、等々、
お見せしたいものが限りなく、いつも“とりとめの無い”雑多な品飾りになってしまいます(笑)
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クラブの目の前の 銀座店の支店「池之端店」も、クラブの行き帰りにお楽しみいただければと、
エスキューブ最年長の古美術界出身の山下さん(古渡り!)が、お越しをお待ちしています。何はともあれ、盆栽界の祭典、観るも買うも 楽しんで下さい。

【売店用盆栽 手入の嵐‼︎】

国風盆栽展に併催される上野グリーンクラブでの大盆栽市
小社も例年通りに2階定場に、最大ブースを設けさせて頂きます。
12月・1月の 流通売買が 予想以上に多く、同展売店用に準備していた盆栽の半数が、ご成約! 
さあ、品物が足りない!と言っても、急ぎ仕入れをすれば高く付くし、
雰囲気の良いものは先に売れてしまっている! 思案の末、よし!
皆んなで未完の盆栽の手入れと、植え替え鉢合わせをすることにしました。

総点数1000~2000点の鉢を保有しているのですが、いざ鉢合わせをしようと思うと、中々ピタリときません。
毎年のことですが 鉢合わせは 本当に頭を痛めます。
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それでも 盆栽と向き合うこの時間は、不思議に 意外と一番楽しい時間かもしれません。
多くの皆さんの前に飾られる時、「ほんのすこしでも、“おめかし”をしてあげたい」
この気持ちが、樹といつのまにか対話をしているのでしょう。
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勿論 その中には、次代の盆栽作家の頂点へ行くこと間違いなしの、鈴木伸二先生の作品もありました。
私が30年ほど前に彼に紹介したものです。
縁あってつい最近 羽生に来ましたが、どこが悪いわけでも無いのですが、“気に入らない”・“納得にまで至らない” と言った感じでした。
“何がいけないんだろう?” しばらく自問自答している間に、何となく答えが見えてきて、新たなる改作 へと踏み切りました!
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盆栽は自分の心の中にある世界を求めて、一心不乱にに対峙して創作している時が、一番ですね!


【失われた 古渡盆器の再現・次代への遺産として】

泥物盆栽鉢の頂点・中国江蘇省宜興県の窯場『宝山』に “失われた古渡盆器再現” 
そして これを良心的価格で 日本盆栽界に紹介する活動を開始する為、半年振りに訪れました。
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以前にもコンテナ2台分を羽生に運びましたが、まずはプロ専業者の皆さんに
使用されている胎土や洗練された古渡を踏襲した『宝山』の作品の素晴らしさを伝えようと紹介したところ、
蔓青園さん椎野宝樹園さん達、活躍目覚ましい人達に殆どが売れてしまって、市場に送り出す分がなくなってしまいました。
先達の盆栽界が伝承してきた名器の多くが、海を渡って作られた中国に渡った今こそ、
10年後・20年後 の日本盆栽界の為に『次代の名器』を 日本にもたらすのが、私の仕事だと思うようになりました。
18歳の時、修行先の竹風園で大量の宜興紫砂を親方が誂えて、必死に全国を売りに歩いたことが思い出されます。
私が今紫砂盆器を発注しているのが、当時の宜興紫砂陶磁公司を前身とした会社『宝山』で、
何人か当時のことを知る人がいる事も不思議な縁です。
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18歳で宜興鉢に出会い、38歳で独立して、20年後の今、次代の盆栽鉢をその地で作っている・・・
人生はほんとに不思議な巡り合わせだなあ、と思います。
2月8日からの国風展売店(上野グリーンクラブ2階)のエスキューブの店にもこれらは飾られます。
是非ご覧下さい。
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