雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴43年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”

【新たなる盆栽文化のテーマパークへの発信】

世界の大都市上海から僅か1時間半、水豊かにして緑深き美しい街「太仓」☆太倉 があります。
自動車関連の大工業地として発展を続けるこの地に、将来の中国盆栽界、
そして世界の人々が「盆栽のテーマパーク」と呼び訪れるようになるかもしれない 夢の計画が進んでいます。
IMG_6159
IMG_6161
IMG_6163
若き中国盆栽家 孫君。
数年前より日本で熱心に技術と市場の勉強をする姿を拝見していましたが、
謙虚でおとなしい彼が 多くの人達に支えられて この一大計画の中心となるとは思いもしませんでした。
IMG_6157
前回の訪問から僅かの間に、彼が熱意を持って私に語った世界は、着々と実現への道を進んでいました。
「森前先生が協力して下さったなら、私の夢は現実になります。」
IMG_6158
IMG_6160
IMG_6156
IMG_6162
中国西安に始めて訪れて、資産家の趣味としての盆栽から、
産業の文化の一体化を形にした「盆栽文化産業・展示流通センター」という発想を論説した私の考えを実現して下さる若者と
その彼をサポートして下さる行政の方々。
まもなく60歳となる私の想いが、こうして受け継がれ形になってゆくことに、喜びと 私がやるべき出来る事の支援を考える旅でした。
IMG_6164

【玄虹会展に込められた、日本文化の美意識】

第10回展となる「玄虹会展」・ 盆栽水石文化に深い造詣を持たれる趣味者達が集い、
日頃の愛好の成果を、同朋と“感嘆相照らす”心で、
更にもうひとつ奥深い“向こう”に見える美と人間性を高める同好会の展覧として、毎年1回 開催されています。
通常は、この会の趣意を理解下さる京都名刹「大徳寺」塔頭『芳春院』のご住職のご好意で、同院で春秋どちらかで行われています。
今回は、秋展が続いた数年から春展へ移行する間の年として、
京都国際文化振興財団『慶雲庵』理事長・田中慶治様が所有する 名亭での披露となりました。
IMG_5940
「わらびの里・霞中庵」戦前の資産家が、京都の山里に“隠れ家”的な数寄屋建築を残されて、
戦後長く料亭として使用されていたものを、正業の関係で田中氏が引き受けたものです。
下足番を備える外門に掲げられている「霞中庵」の扁額は、横山大観の筆・しかも篆刻は北大路魯山人! 
IMG_6093
門をくぐり、庭内を進むと、深山渓谷を想わせる素晴らしい庭。
IMG_5941
IMG_6092
山間に溶け込むように作り込まれた樹々・石組・苔・そして 平安の頃から歌われた「音羽川」が庭内を流れて、
その斜面を清冽な音を立てて流れる滝姿の妙。
渓谷の傾斜地に築かれた数寄屋建築は、各部屋ひとつとして、同じ趣向は無く、一室一室がまるで工芸品のよう。
FullSizeRender
IMG_6097
FullSizeRender
半世紀を超えてこの「隠棲の栖」を保存された歴代の所有者に頭が下がります。
展示の中身をご紹介する前に、この霞中庵が私に教えてくれた“飾り”に潜む美の源流が、
日本の美意識の根幹と言える「影あればこその光の美しさ」を伝えたいと思います。
最近の盆栽水石の展示会・展覧会は、会場形式が主流です。
時代の流れで、これも仕方がありません。
誰もが参観しやすく、搬出入が便利なのは当然の利です。
しかし、日本の盆栽界が創出した美は、盆栽だけの世界で生まれたものではなく、
古くは室町期に発生した「東山文化」の中で、御伽衆・連歌衆の手によって誕生した室礼による書院飾りにその起源を見ることが出来ます。
FullSizeRender
ひとつの空間、直射の無い“間接光”の部屋に現出される、人と空間と対峙する実像。
そこに「幽玄」という、言葉には表しづらい「韻」を 感得するに至ったのです。
今回の「霞中庵」における盆栽水石飾りも、その本流と言える在り方を、見事に表現したと言えます。
FullSizeRender
照明では響きを示さない仄暗い室の中に浮かび上がる玄なるもの、ただ自然の造形物や園芸創作があるのではなく、人のその時の心の在りようが、そこに感じる小宇宙なのです。
今回は総論を写真と共にお伝えして、次は幾つかの席について申し上げます。


菖蒲咲く明治の杜、日本各地より精選された名石が、一堂に集う「日本水石名品展」も、
58回の展覧となりました。

IMG_6028

IMG_6027

特別出品の『豊公由来唐石』『甲斐武田家由来盆石』などを筆頭に、

精神性深い雅石・涼を呼ぶ水盤石など、神宮社務所講堂と本殿東廻廊に六十余石の圧巻の展覧です。

IMG_6018

IMG_6022
IMG_6020

先週の「奉納盆栽展」に引き続きのこの催事は、訪れる海外からの大勢の方々を魅了しています。

(明治神宮は都内屈指の観光地としてNO1の名所です)
盆栽作家として、海外にも知られる 春花園 小林國雄 理事長をはじめ、

鈴木伸二氏、蔓青園 加藤崇寿氏、そして国風賞受賞愛好家の方々も、水石家として 名を連ねています。

IMG_6026

IMG_6023
IMG_6021
IMG_6019
IMG_6024
IMG_6025

10日までの大展覧、名品を無料で観賞できる絶好の機会です!

ご覧下さい!


【“山懐の隠れ家”で 開催された 盆栽水石飾りの深奥!】

春、または秋に 京都 禅林「大徳寺・芳春院」で開催されてきた、数寄ごころ豊かな盆栽水石愛好家の集い「玄虹会」。
IMG_5940
今回は所を替えて、同じ京都でも 山科の山々に囲まれた“隠れ里”の風を色濃く残す地に、
戦前より保存管理されている名亭『わらびの里・霞中庵』を舞台に、名刹での設えとは またひと味違う 部屋飾りを試みました。
IMG_5941
IMG_5942
IMG_5945
IMG_5947
初夏の風薫る季節、打ち水のされた名庭と、各室で現出された詩情溢れる静謐幽玄の世界。
IMG_5943
IMG_5948
圧倒的な名木だけが、求められるのではなく、一木一草に 潤湿な“緑陰”の感受を楽しむ季節を、
どの様に 設えるかを研修する目的もあっての展覧でした。
何回かに分けて、心に残る席飾りをご紹介させて頂きます。
IMG_5944
IMG_5946
IMG_5949


帝都の杜、明治神宮の楼内東廻廊で、毎年恒例の「奉納盆栽展」が、1日より始まりました!
IMG_5935
IMG_5936
一の鳥居・二の鳥居・楼前鳥居 を更に本殿に進んだ 内陣と言える 場所に盆栽を奉納陳列して18年目の展覧です。
四十代前半、この展覧を企画開催した理事時代のあの頃が懐かしく思い出されます。
今回も 神宮の盆栽「五葉松」を中心に水石協会が選出した全国からの18点の名樹達が、参詣に訪れた多くの方々を迎えています。
IMG_5933
IMG_5938
IMG_5937
近年は、東京NO.1の観光スポットとなったこの明治神宮。
朝から海外からの圧倒的な観光客の皆さんが、展示された盆栽に感嘆の声をあげて、カメラを皆々掲げていました。
IMG_5939
IMG_5934
この奉納盆栽展は、5日まで開催され、引き続き『第58回 日本水石名品展』が行われます。
その際、盆栽の若干数が延長展示されます。
まもなく創建100年を迎える明治神宮。100年前、全国からの“献木”でこの杜が創られたことを、どれだけの方が知っているでしょうか?
ある意味では、この杜を築いた人達の自然に対する畏敬の念が、日本人の心底にある盆栽に対する精神とも言えます。
そんな気持ちを持って展覧を楽しんでください。

↑このページのトップヘ