雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴47年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”


京都大徳寺盆栽庭園も大観展も過ぎ、“北山時雨“が、庭内の紅葉を散らしています。
山も樹々も一年の色付きを輝かせた秋。
冬の訪れを前に、“名残り“の飾りを芳春院盆栽庭園内の「通玄庵」床の間にしつらえてみました。

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細身の柿、鉢持込み古いこの樹は、文人好みと言える姿を持っています。
半月の間、葉の色付きや実の充実を、刻々と深まる秋を感じながら、いざ飾る寸前に、
無駄枝を捌き、実数を減らし、描こうとした“風情“に合わせた樹姿にしました。
柿は枝先で実の重さで枝を垂らす、こんな樹味を大切にしました。
僅かな実、僅かに残った葉。
日本人が心底に持つ“もののあわれ“を表現しました。

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掛物も、時雨の中散りゆくもみじの葉、百年を超える画幅の紙本の枯れた味が、一層の静けさを出してくれました。

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脇に添えたくず屋形の石。赤玉石とは言え、寂びた石味が、まるで散り紅葉で覆われた屋根姿を現出したようです。

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一年かけて培養した柿、この一瞬の世界観を創り出す為の一年でした。


京都・日本盆栽大観展3日目、ウクライナチャリティー盆栽オークションが開催されました。
京都市と姉妹都市のウクライナ首都キーウ。
自然と文化の融合体“盆栽“は、平和の象徴でもあり、私達盆栽界で苦難の中にいるウクライナの方々、
日本に避難されている同国の方々へ僅かでも支援出来ればと企画されたオークションです。

パドルオークションと言う、競り会とはひと味違ったスタイルでの一般参加型の珍しいオークションです。

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僭越ながら進行オークショナー役となった私は、とにかく一斉に挙がるビットを見落とさないことで精一杯💦
それでも国風賞花梨を筆頭に、総出来高4700万(速報値)と言う予想を大きく超える成果を上げる事が出来ました。

予想価格を明示するなど、愛好家も参加出来る“近い未来には常識となるオークション“の試金石となる事も願っての企画でした。

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角川京都市長・慶雲庵田中財団理事長もこの催事を応援して見守って下さいました。
プロアマ問わず、参加下さった皆さんにオークショナーとして唯々感謝の限りです🥲


京都市内岡崎公園の“みやこメッセ“で、盆栽界の二大展覧のひとつ、日本盆栽大観展が開催されました。
コロナ禍で、海外の方々が来られなかった昨年、一昨年とは違って、今年は多くの海外勢が初日から来場されました。
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内閣総理大臣賞は、大川功氏の真柏巨樹❗️
未公開の圧巻の存在は、他を圧倒するものでした。
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歴史ある“国風盆栽展“とはひと味違って、業界団体の主催するこの展覧は、盆栽水石の様々なジャンルを幅広く楽しめるものです。
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特に展示の飾り方のレベルを競う“大観展賞“などは、名樹を単独で鑑賞するのみではなく、
そこに表現された“自然観“や、世界観を伝えるもので、盆栽水石の愛好家の美意識を高めるものとして、私なども素晴らしいものだと思います。
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行き届いた手入れの樹々、掛物と合わせた調和の美、大観展はいいですね❗️


20年ほど前、長野県須坂市の井浦勝樹園さんに伺った時、見た事もない大型真柏の未完があり、
何度かの訪問の末、“森前君ならいいよ“と言われて譲っていただいた事が昨日のように思い出されます。

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そこから15年、下手なりにコツコツと作り、名樹としての樹相として発表しました。
私は商人、盆栽作家などと名乗る立場はありません。
長くこの樹と歩んで思いました。
“この樹にはもっと別の顔が必ずある“・・
そんな時、木村正彦先生から修行を終えて、羽生の近くに居を構えた若き作家、森山義彦君との交流が始まっていました。

それでも高額な樹、お世話になっている愛好家の舩山さんにお願いして、

“旧蔵者から譲って頂いた値のままでいいから持ってほしい。
但し、森山君に作家としての作品になるよう、自由に改作させてほしい。
完成して作風展に挑んで、すべてが終わるまで作風展の規定の為、舩山さんはどこにも飾れません。
それでもお願いします“

・・無理なお願いを受け入れて下さった舩山さんには感謝しかありません。

無事に栄えある作風展内閣総理大臣賞を森山君が射止めたのが昨秋。

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間もなく開催される第42回日本盆栽大観展の特別出品が済めば、ようやく交わした約束通り、舩山さんの所でこの樹も静かな刻の中に入れます。
天国にいる井浦のお父さんにも報告できます。
私は主人公よりも、脇役や軍師が似合っているみたいです💦笑


25日より京都市みやこメッセで開催される『第42回日本盆栽大観展』の会場内で、
日本盆栽協同組合主催による、日本ウクライナ友好チャリティーオークションが開催されます。

ウクライナの首都キーウと京都市は姉妹都市。
大観展の主催者のひとりでもある京都市を通して、収益金のすべてを、
戦禍で苦労されるウクライナの人々の僅かでも役立ててもらおうと、企画されました。

私も企画者のひとりとして、木村正彦先生・小林國雄先生など、
盆栽界を代表される交流ある皆さんに声をかけて参加出品を集めてみました。

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27日、日曜日の午後2時、進行役を務めて挑みます。
もし、京都大観展にお越しの皆様が居ましたら、是非参加して下さい。

盆栽界が寄与できるものは僅かです。
でも、“貧者の一灯“と言う言葉もあります。

ひとつの種から、ひとつの苗木のような樹から、すべての盆栽達は名樹への道を歩みます。

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私達の灯す光は小さいですが、それが集まればやがて大きな太陽にもなります。
日々水をかけなければ、死んでしまう盆栽達。
日本人はそれを弛まぬ心で守り続けてきました。
盆栽は平和な日々の中にあってこそ人々の心を癒してくれます。

平和の象徴、“BONSAI” で、世界がひとつになれますように!

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