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盆栽歴45年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”



2年間の工事期間の末、京都大徳寺内「芳春院」に盆栽庭園が完成しました。

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コロナの影響で、正式な開園は来年の3月になりますが、大観展も中止となった今秋、
京都国際文化振興財団『慶雲庵』の特別展を、この場所で開催することになり、名樹の数々が、初めて大徳寺の中に運び込まれました。

落葉の季節、毎朝7時には庭の掃除に始まり、参観の方々をお迎えする9時半までに、水打ちを済ませて開門。
今はエスキューブスタッフ・近代出版・鈴木伸二さん・の“連合艦隊“で守っていますが、春からは私と専任スタッフの渡辺君の2人!
“掃除の毎日“が待っています!

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芳春院のご住職に「この地に盆栽庭園を造ろうと思うが、一緒にやらないか?」のお声を頂き、
幾度も“分不相応“としてご辞退した時を思い出します。
私の代で終わらず、50年・100年・と続くなら、とお引き受けしましたが、
今でも私で良かったのだろうか?と、ここからの“この庭と盆栽を守る“責任の重さを痛感しています。

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それでも、大徳寺は異次元の場所でした。
寺内に住み暮らして10日ほどになりますが、日が暮れると、各所の塔頭や修行道場から聞こえて来る読経の音。
朝は薄暗い夜明けの頃には、大徳寺全体が静かに動き始めます。
もう一度、十代の修行の頃に戻った気持ちで、ここを守ろうと思います。
まずは、この財団『慶雲庵特別展』を無事に進める事に専念します。


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分不相応な夢。
2年前に大徳寺芳春院のご住職より頂いた「盆栽庭園」の構想。
再三のご辞退願いの末に、私淑するご住職の想いを受け止めて、
自分の人生設計(元々たいしたものではなかったのですが)を変えて臨んだ庭園進行。
コロナの影響で、正式な開園を来春の3月にした中、ご縁ある京都盆栽財団の「慶雲庵」田中理事長と
お世話になって来た『月刊・近代盆栽』の徳尾会長のお話で、
11月28日〜12月6日まで、財団初の単独展に庭園をご利用頂くことになりました。


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21日に京都入りして、とにかく掃除掃除の毎日!
24日より、財団所有の盆栽達が、長野鈴木伸二さん・エスキューブ・より続々と庭に運び込まれ、
目の回る忙しさの中、ようやく準備完了となりました。

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何も無かった150年間未使用の地、庭園前が秀吉が信長の一周忌を執り行った・総見院、斜め前が、千利休を筆頭とする茶道千家の菩提寺・聚光院、
そして後ろがこの盆栽庭園の所有者である芳春院の加賀前田家の墓所。
ここに盆栽庭園が出来るなんて、当の私ですら今も“夢の中か?“と思うくらいです。


21日以来、ホテルには泊まらず、日々をこの名刹の中で暮らしています。
深夜、庭に佇めば、蹲に落ちる一滴の水音までが、はっきりと聞こえる静寂。
月明かりの下に仄かに見える盆栽達。

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これからここを舞台に私に何が出来るものか?見当もつきません。
ひとつだけ言えることは、46年前、15才の時、世間から離れた山奥の禅寺で修行僧になる事に憧れた小僧が、
紆余曲折の人生の末、多くの人々に導かれて、日本の禅林を代表する地に、盆栽庭園を預かる事になったと言うことです。
不思議な想いですが、私はここに辿り着く為に今まで生かされて来たのかもしれません。
そして、これからも多くの出会いを頂きながら、人生の修行をさせて頂くのだと思います。
間もなく禅林文化の中に、初めて盆栽が根付きます。
もう一度、10代のあの頃に心を戻して、修行の始まりです。



明日から長留守の京都行き。
展覧会の事や、大徳寺に対する礼儀など、無学な私には神経衰弱になりそうな毎日です💦

こんな時は、本来の自分に戻って、樹作りの時間を作る事が1番です。
木村先生門下・森山義彦君、私の所の卒業生(もう一人前の盆栽業者ですが)白石友也君、
そして3年の修行を終えて間もなく故郷中国へ帰るハオ君とツァオ君。
4人の力を借りて、四国から運んだ大阪松(宮島五葉松)の幹曲げ、枝曲げを伴う改作を行いました。

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素材の激減する中、若いみんなには、こんなそのままでは誰も見てくれない樹が、“本筋“に変貌してゆく姿を体現してもらいたかったのです。


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名匠木村正彦先生よりの鉄棒やジャッキを使った、樹の限界との挑戦のような仕事!


すぐには人前に飾れるものでは無いけれど、数年の刻をかければ、鉄棒も外れて、“これがあの時の樹?“と言うようになってくれると思います。

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やっぱり、樹と一緒に過ごしている時間は、何よりも楽しいですね♪



完成を間近にした、大徳寺内の盆栽庭園。


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細かな所を色々と想うと、庭園を預かる者として、頭が痛くなる思いです。

門入口脇の桜川砂を敷いた所に予定している、枯山水の石組の仮置きをしました。
尊敬する蔓青園加藤三郎先生の遺愛品である、揖斐川の龍眼石と伊予石。


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5代目園主、崇寿氏より割愛を頂き、本来は来年の3月の開園前に正式に設ようと思っていましたが、
28日からの「京都国際文化振興財団・慶雲庵」の、同所で行う財団展に際して、
入口を砂敷だけでお迎えするより、惜しまず披露しようと思いました。

大徳寺の中には、多くの名勝名園があり、禅林としての枯山水庭園は、日本を代表する歴史深いものが各所にあります。
その中で、私のような盆栽水石以外何の能も無い者が、ここに枯山水などと言えるものを設るなど、おこがましい限りです。

揖斐川の龍眼石は、盆栽界で石付に用いる石、三郎先生は創作的景色を大切にした作品を多く遺されましたが、
平石やこの龍眼石を使っての盆栽への造詣において、他の手本を示されました。
その先達の遺愛品を使ってこの庭園に“盆栽を付けない石で景色を表現してみたい”と言うのが、この枯山水なのです。


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取り敢えず、仮組をして、最終的には、秋吉ご住職のご指示を頂いて固めたいと思っています。
私が出来るのは、三郎先生達が築かれた盆栽界への想いをこの日本を代表する名刹が開く盆栽庭園に遺すこと、それだけです。
もう少しで、全体が仕上がります。
還暦を過ぎて、日々勉強の毎日です!



来春2月の国風盆栽展、1月初旬には審査申込み締切、下旬には選考審査。
ここから本格的な樹の準備に入ります。

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エスキューブは、通年木村正彦先生と共同で進めていますが、申込み予定の樹は、11月中にハウスに取り込んで、手入れや状態の万全に努めます。
先日も先生の所に伺って、今年の進行の打合せ をしました。
真柏・黒松・五葉松・その他、多種多様な盆栽がこれから先生のアトリエハウスに集まります。


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多い時は50点を超える最上級の盆栽達が、所狭しとハウス内に置かれます。
既に先行して搬入してあるもの、これからお客様の所からお預かりしてくるもの、
審査での評価が楽勝のもの、手入れを入念にして、1点でも審査点を上げたいもの、
鉢映りを直さないといけないもの、一人ひとりのお客様の気持ちになって、考えなければならず、思案に苦労します。


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それでも、国内最高の展覧にご自身の盆栽が飾られた時の、愛好家の方々の嬉しそうなお顔を思えば、
精一杯のお手伝いに努めないとと、気を引き締めての準備が始まります。



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