雨竹 盆栽 水石 便り

盆栽歴44年 盆栽家森前誠二がブログで綴る盆栽人の本音と 伝えたい日常の中の”心と技”


【展示用の古鉢群の圧倒的な充実と日々変わらぬ手入れ作品】

貴重盆栽登録審査会の打合せで、木村先生の庭に伺いました。
国風展が終わり、貸し出しされていた展示用の古鉢群が、丁度並んでいました。
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古渡大型鉢から3点飾り用の中型鉢まで、「これだけあれば、多くの作品の利用に充分」と言える保管量です。
日頃から先生は
「私にとって古鉢は、売り買いするものではなく、盆栽を映えさせる衣装のようなもの。必要なものを少しずつ集めた結果」
と仰っています。
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愛好家の仮植えから戻されて元の鉢に植えられた盆栽は、
樹勢を留意して先生のハウスで、3~5週間状態の安定が確認されるまで管理されます。
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そんな中でも先生は、新たな作品作りに邁進されています。
老成されてなお、制作意欲は衰えるどころか 益々意気軒昂!
すべての点で 盆栽人として見習うことばかりの大先輩です。

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3月2日~3日僅か2日間、京都名刹 大徳寺の中の芳春院で開催された『第11回玄虹会展』。
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特に別室床飾りで披露された寺内幸夫氏の展示は、盆栽趣味の文化的な真髄を物語るものでした。
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主木の黒松は、名人会田一松翁が最後まで愛した名樹として名高いもの。
「盆栽とは肥培するものではなく、枯淡の風趣を枝ひとつの中にも醸し出されたものが肝要」
という名言を残した翁。
若き栽匠として注目される神奈川県秦野市 宝樹園 椎野健太郎氏の所で 絶妙な管理をされたこの樹を、
席主は松を使った飾りの季節としては難しいとされる三月初旬に見事な設えをされた。
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掛け軸は 田中日華 筆「雪月花」通常の掛け軸と違い、表装部分も画家がすべて書き込んだもの。
画中の外から降る雪、この雪に混ざって僅かに散る桜の花びら。
朧の半月と共に幽玄な世界を表現しています。
特に注目するのは、月や雪そして花びらは、画中の下では消えていることです。
目に見える月も雪も花びらも、悟りの境地に言う「一切は空なり」の空。
つまり 世の現世に見えるものは、一刻の儚い夢、そこに齢を重ねてなお厳とした姿を見せる松。
生きる盆栽の姿と空蝉の画中世界が共鳴しあい、松際立つ気韻を見事に描き出されている盆栽飾りの真骨頂を捉えた名席と言えます。
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加えて脇床に置かれた馬蹄石の雅石。
石中に立つ姿が明王や菩薩にも見立てられるこの石は、本床に広がる幽玄の世界を、更に深い響きへと導く仏性観と言えます。

盆栽は 庭や棚で その姿を観賞するだけのものではありません。
本席が描き出す精神性は、盆栽を主軸にして 自然や哲学的な美意識を、
学識の裏付けを加えて どこまでも広がる人間美へと昇華させています。
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世界に盆栽文化が広がる中、技術や価値観ばかりが 評価される中、先人達が 百年以上の時をかけて完成させてきた 真の盆栽世界を 再認識させてくれる 鑑と言うべき一席です。

【大徳寺 芳春院で開催!】


盆栽水石の古来より受け継がれて来た 座敷飾りの文化を 次代に伝承し、

その奥にある美と美学を見つめる集団として結成された 玄虹会。

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京都 臨済宗 名刹「大徳寺」内 塔頭(たっちゅう)芳春院(創建400年・加賀前田百万石 初代 前田利家夫人 “おまつの方”建立)

を舞台に、11年めの展覧が開催されました。

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枯山水の方丈(本堂)近衛家寄進の大書院・石州流の総家元でもあるご住職が守る茶室「迷雲亭」と「落葉亭」

このすべてをお借りしての大展覧は、会員の意向により 多くの参観を求めるのではなく、

朋友が集い 歓談の中に 盆栽水石趣味の深奥を見つめる 至高の世界。

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発足時より 出入り方として、会員の方々の補助に努めて来た私にとっても、今では 盆栽人としての“ライフワーク”のようになっています。

“盆栽・水石の美とは何か”を 問い続ける自分ですが、この展覧の中に その答えの僅かが あるように思います。

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年に一度、この会のお手伝いをする事で、自分が何をして何を求めて行くべきなのか?

迷いがちな 人生の道標となってくれているように思います。


【雨竹亭盆栽教室入門!】

雨竹亭の盆栽教室の平均年齢を大幅に若返らせる生徒が入門しました!
清水ちえりちゃん、なんと11歳。
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(本人、お父様に許可を取って写真とお名前を掲載させていただきました!)
群馬県高崎市・お爺様・お父様も盆栽愛好家で、お爺様は今年の国風展にも出品されている大家!
ご家族で行った国風展でも、盆栽協会に最年少入会されたとの事。
夢は 自分で考えて盆栽を手入れして“国風展に飾ること” !!!
盆栽で言えば、将来の名木になるかもしれない大切な素材。
それでも 私は盆栽を通して命の大切さや、人に対する優しさを 感じてもらえる事を1番に伝えたいです。
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羽生雨竹亭の庭が出来た時には、生まれていなかった子が、こうして盆栽をジッと見ている,,,
盆栽人として 何をすべきか、教えてもらっているようです。
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【圧巻の名木達!】

第93回国風盆栽展。
15歳でこの世界に入って、次の年 49回国風展を始めてみてから、長い時が経ちました。
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会場で水かけ当番をやったあの頃、商売が忙しくてグリーンクラブから美術館へ動けず、結局国風展自身を見られなかった頃。
友人の多くが協会・組合の役員となった今、前期後期共に観覧させて頂きました。
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愛好家の皆さんが、大切に培養手入れした作品、出入り方のプロと入選を心待ちにした気持ち。
名樹の裏側にある人間模様が感じられてしまうのも、プロとして長くやって来た者の性かな?と自分で笑ってしまいます。
それでも、日本盆栽界 最高峰の展覧!
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飾られた木々達は、唯々 有難いばかりの気持ち湧く、日本の宝達でした!
木村正彦先生のご協力で、私のお客様達も9名飾られました。
“もっとこうすればよかった、もっと時間をかけるべきだった”など、
プロならではのお客様より任された身の反省ばかりを感じるものもたくさんありましたが、
国風展が、私達プロにとっては、“次への目標”にもなっています。
来年こそはこうしよう!と思うもの多い機会です。
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